

CONCEPT
“All lives have a story”
全ての生命に物語があります。
MASHIRA作品に共通する普遍的なテーマであり、組織を突き動かす原点です。
世界に向けて発信されるこのメッセージは90年代にひとりの子どもが書き記した日記の一節が基になっています。
その子どもは猿と呼ばれるのが好きです。
猿は自身が人間であることを知りません。
幼年の猿は裕福な家庭に生まれました。
教育と宗教に熱心な保守的な両親のもとで愛情を受けて育ち、周囲からは恵まれた子どもであるかのように思われていましたが、事実は少し異なります。
猿が過ごした生育環境は繰り返される脅迫的な支配と激しい暴力が横行する機能不全家族であったからです。
また猿が持つ自閉症スペクトラム、注意欠陥・多動性障害、学習障害から成る先天的な脳機能の偏りと心的外傷後ストレス障害は当時の社会では理解を得ることが難しく、猿の日常にはいつも困難が付き纏いました。
外では気の触れた異常者と呼ばれ、家庭では心ない悪魔の子と罵られていましたが、猿は人間が好きでした。
猿の脳が持つ特性が生む、強い興味と関心は常に人間に向けられていたのです。
人間と動物の交流を描いた物語に触れてはその絆に強い憧れを持ちました。
人間のように振る舞うために毎日、鏡の前に立ちました。
どうしても辛くて苦しい日には木の上まで逃げていき、自身に宛てた文章を猿は日記に綴ります。
人間と関わることのできる未来を猿は模索し続けました。
あれから何十年という年月が経ちます。
現在でも猿は人間への強い興味と関心を抱き続けています。
かつての猿が願い続けた未来の先にMASHIRAは創造されました。
“全ての生命に物語があります。”
誰かが有り得ないと切り捨てたいくつかの物語のなかに貴方の過去があるのかもしれません。
私たちが仕方がないと突き放した幾度もの物語のなかにまだ見ぬ他者が過ごす現在や貴方がいつか愛する誰かの未来があるのかもしれません。
MASHIRAは生命が持つ物語と物語が持つ世界を動かす力を信じています。
私たちが信じた願いの答えは何十年、何百年、あるいは何十億年という先の未来で何者かが知ることになるのでしょう。
MASHIRAの意思が続く限り、私たちが掲げた思想の旗は決して撃ち落とされることはありません。
若き日の猿が自身の心の存在を綴り続けた日々の先に現在のMASHIRAがあるように。
想いは形を変えて、誰かを伝い、世界に広がり、何度でも新たな物語を生むのです。